現代の一眼デジカメはすべてAE機構が組み込まれています。おかげで、カメラマンは露出を気にすることなく撮影に専念できます。ところが、ビギナーの皆さんはあまり気にすることはないのですが、ここには大きな問題が存在しています。AEで測定された露出結果はあくまでもカメラが判断したものです。そのため、しばしばカメラマンのイメージとは違う結果が出てしまうのです。ハイキー写真、ローキー写真はそのカメラが判断した露出を否定するものなのです。
ハイキー写真とは明るいだけではありません
ハイキー(high-key)とは、その意味からすれば調子が明るい、つまり明るい写真ということになります。それならば明るい写真はすべてハイキーと呼んでいいのかということになりますが、実際はそうではありません。写真全体を明るくすることで優しく爽やかなイメージを伝えようとするものだからです。したがって、優しいだとか爽やかだとかいうイメージがそぐわないもの、例えば男っぽい被写体や重厚な雰囲気を伝えたい写真に用いるとミスマッチです。やはり、ハイキーに適した被写体を選ばなくてはなりません。
ハイキー写真の対極にはローキー写真がありますが、同様に暗いだけでは写真の価値が高くなることはありません。それに適した被写体を選ぶ必要があります。
簡単なやり方は露出補正を利用することです
では、ハイキー写真に適した被写体とはどのようなものかを説明する前に、ハイキーやローキーにする方法を紹介しておきましょう。皆さんは自分のカメラの露出補正機構を利用しているでしょうか? おおむね、シャッターの近くに専用ボタンがあり、ダイヤルを回せばプラス、またはマイナスに修正できます。ビギナーのうちはほとんど±0のまま、つまり補正せずに撮影しています。言い換えるなら、カメラが定めた適正露出で撮影していることになります。
この適正露出によく似た用語として標準露出があります。紛らわしく、分かりづらくなるのを承知で解説を続けます。もう少しお付き合いください。カメラのAE機構は反射率18%の被写体が正しく18%に写るように露出を設定します。この18という数字は人肌を基準にしています。一般的なカメラの使われ方は人間を撮るケースが一番多く、写真を見る人も人間という被写体によく反応するからです。
その結果、真っ白な被写体も18%で表現されることになります。真っ白なはずの雪も18%のグレーになってしまうのです。雪を真っ白にしたいカメラマンの意図とは異なることになります。
そこで、露出補正を1〜3段階プラスにします。この1〜3というのは数字ではありません。ダイヤルを回すクリック数のことです。数字にすれば1段階が0.3、2段階は0.7、3段階は1です3段階とはプラス1という意味です。条件や作画意図によってレベルは変わりますから、必ず何段階か撮影しておくことが必須です。
ハイキー写真はボケや低コントラストも併用する
作例①
作例②
作例③
作例①と②を見比べてみてください。①はカメラのAE機能が指示した標準露出です。②はプラス補正をかけてハイキーに仕上げました。見る人はどのような印象を受けるでしょうか。優しい、すがすがしい、軟らかいという印象を受けたのではないでしょうか。本来、明るい写真は見る人をして優しい気分にさせてくれるものです。
それをもっと強調したのが作例③です。これは「カメラ女子」に人気の高いふんわり写真と呼ばれるものです。コントラストが弱く、さらにボケを多用しています。条件に恵まれれば逆光でフレアを利用すると効果はもっと高くなります。弱いコントラストにするには明るい曇天が望ましい条件です。薄い雲を通した日光が斜め前方から射せばフレアも生じやすいのですが、なかなかこのような好条件に遭遇するチャンスには恵まれないでしょう。与えられた条件の中でどのようなテクニックを使うかというのはカメラマンのスキルに関わる課題です。より多くの技術を身につけてそれを撮影に利用することで上達するのです。
ハイキー写真に効果的な被写体とは
ハイキー写真に仕立てる技術そのものはそれほど難しくはありません。ただ、条件が難しいのと、被写体の選択には注意しなければなりません。条件についてはすでに触れましたので、ここでは被写体の選択を解説します。
ハイキー写真のイメージは優しい、爽やか、軟らかいと前述しました。つまり、そのイメージに合う被写体を選べばいいのです。一般的にハイキー写真によく使われるのは、若い女性や子ども、花などです。いずれもイメージとしては分かりやすいものばかりです。
ただし、誰もが選ぶ被写体ですので独自性を出しにくいというマイナス面があります。誰もが女性や子ども、花をハイキー写真に仕立てますから、みんな似たような写真になってしまうのです。ユニークな写真を撮りたいと思えば、あえてハイキー写真にそぐわない被写体を選ぶのもいいかもしれません。
露出補正は慎重に
作例④
明るい写真に仕立てるため露出補正をするといっても限度はあります。オーバーにするあまり白飛びさせてしまうとあとで取り返しがつかなくなります。それが作例④です。現在はパソコンを利用すればかなりの部分を後処理で加工できます。しかし、白飛びするとまったくデータがなく、どうにも加工できません。
それもあって、補正を何段階にも分けて撮影するのですが、白飛びする直前の段階が望むところです。そのためには露出補正だけでは難しい状況もあるでしょう。その場合は逆光を利用するという方法があります。ホワイトバランス(WB)を使うという手もありますが、 WBについては別の部分で解説しましょう。
ローキー写真
作例⑤
作例⑥
ここまではハイキー写真について解説してきましたが、ローキー写真は反対のことをすればいいと思っていいでしょう。作例⑤と⑥がノーマル写真とローキー写真の比較です。注意するべきことはふたつあります。まず被写体です。ローキー写真のイメージとしては重厚、大人っぽい、冷たいといったキーワードが浮かび上がります。そのイメージに合った被写体が適当というわけです。よく用いられているのは年配の男性、金属(車や機械など)、岩や老木などです。
もうひとつの注意点は、画面すべてをシャドーにしてしまうわけではないということです。どこかにハイライトを設定し、見る人の視線をそこに誘導するのです。そのため、ハイライト部分には細心の注意を払わなければなりません。いってみれば、ハイライトを引き立てるためのシャドーということです。
なお、ハイキー写真では2〜3段階プラス補正するとしましたが、ローキーでは状況によってはマイナス3からマイナス4にも補正する場合があります。プレビュー画面で確認して、自分が納得するまで補正してみてください。
まとめ
常に標準露出で撮影するのは決して悪いことではありません。その範囲で「いい写真」を撮ろうと努力していれば間違いなく技術は上がるでしょう。しかし、意識して標準露出より明るくしたり暗くしたりすることで表現の幅はぐっと広がります。同時に、写真を見る「目」も養われることになります。それまで標準露出で撮影された写真ばかり見ていたとすれば、ハイキーもローキーも新鮮な印象を受けるでしょう。結果として、それはあなたのスキルの底上げにつながるはずです。
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