アングルとは角度のことです。写真用語では被写体をどの方向から写すかを意味します。角度が変わることでそんなに違うものかと思うかもしれません。しかし、それが大違いなのです。
人は、成人なら目は地上から150㎝から180㎝の位置にあります。それ以上高い人も低い人もいますが、ここでは例外としておきましょう。なにがいいたいかというと、立っている状態では常に150〜180㎝の高さから水平、または下方向、まれに上方向を見ているため、その目線が当たり前になっているということです。見慣れた光景なのです。しかし、下の方から上に、あるいは上方から下へアングル=角度を変えてみると見慣れないシーンが目の前に現れます。これは新鮮な驚きです。
いい写真とは新鮮な驚きを感じるシーン
ここで皆さんに質問してみます。いい写真とはなんだと思いますか?
いい写真の定義はいろいろありますが、ここでは「見慣れない新鮮な写真」という面で捕らえてみます。もう少し詳しく説明してみましょう。日常的に見慣れている光景には人は注目しません。珍しくないからです。しかし、めったにお目にかかれないシーンには興味を引かれます。虹が出ていたらみんな注目します。南日本に住んでいる子どもたちは雪が降ると大喜びします。見慣れないものだからです。それと同様で、当たり前ではないシーンを撮影した写真には目を引かれます。新鮮だからです。
ローアングルとは
人間の目は150〜180㎝の位置にあり、常にその高さから眺めていると前述しました。その視点をグッと下げたのがローアングルです。小さな子どもの目の位置、さらには地面すれすれから見上げて事物を捕らえようとするのがローアングルです。カン違いしないでほしいのですが、ローアングルとローポジションは違います。ローポジションとはカメラの位置を示すもので、低い位置から水平、または見下ろして撮影すればローアングルにはなりません。
冒頭で説明したように、アングルとは角度のことです。位置ではありません。ですから、厳密にいえば通常の目の位置から見上げればローアングルということになります。ただし、それでは新鮮さを打ち出すのは難しいでしょう。見慣れない光景ということになれぱやはりローポジションからから見上げたものに落ち着きます。したがって、ここでいうローアングルはローポジションという前提で進めます。
さて、ローアングルで撮影すると二つの効果があります。一つは、低い位置にあるものが強調され、高い場所はぼかされるとまではいいませんが、弱く表現されます。人物の全身をローアングルで撮影したとしましょう。当然、下半身が強調され、上半身は小さく表現されます。具体的には足が長くなり、上半身〜顔は小さくなります。つまり、スタイルのよい10頭身になるのです。ほとんどの女性は喜びます。あなたは撮影がうまいという評判が立つでしょう。
ローアングルのもう一つの効果
次に、地面すれすれにカメラを構えた場合はどうなるかを見てみましょう。こうすると、地面に近いものを視界に捕らえることができます。地面に近いものとは、歩いている靴の裏、車のタイヤ、木の根っこ、捨てられた煙草の吸い殻や空き缶などなどたくさんあります。通常の目線ではなかなか注目することはありません。それらを画面の下部に配置することで新鮮さを打ち出そうというものです。
この撮影方法で欠かせないのが広角レンズです。標準レンズや望遠レンズでは画角が狭く、地面に近いものと上方にある被写体を同じ画面に捕らえることはできません。広角レンズをもっと極端にした魚眼レンズも、使い方によっては面白い写真になるでしょう。ただし、魚眼レンズに特有のディストーション(歪曲収差)だけに捕らわれると写真としての価値は高くなりません。注意してください。
ハイアングルとは見下ろすこと
ローアングルの対極にあるのがハイアングルです。つまり、上から見下ろすという視線です。この究極にあるのが宇宙船から見た地球です。人間が宇宙から地球を見ることはできません(宇宙飛行士を除けば)から、この画像はインパクトがあります。とはいえ、平凡な人間が地球を見下ろすというのはあまりにもかけ離れていますから、ここでは山頂から下界を見下ろすという状態を例に取りましょう。
苦しい思いをして山に登る目的の一つに、山頂から眺めた光景というのがあります。いつもはお目にかかれないシーンですし、苦しい思いをして登った人にだけ与えられるご褒美です。これを感動的な写真にするのはなかなか難しいのですが、チャンスに恵まれると多くの人の注目を集めることが可能です。
もっと身近な例としては人間の表情があります。それも楽しい顔、喜んでいる顔が最適です。ローアングルでは下半身が強調されると書きました。ハイアングルではその反対です。下半身よりも上半身、特に表情を強調するときは上から目線でアップにすると効果的です。
水平アングルは安定しているが……
ローアングル、ハイアングルではない通常の目線を水平アングルといいます。カメラの方向を水平にして撮影することで、見慣れている光景だけに安定感があり、見る人は安心して写真を見ることができます。それはそれでメリットなのですが、見慣れているだけに新鮮さを出すのが難しいのは否定できません。もっとも、大半のカメラマンはそれで苦労しているというわけです。被写体を選び、光の条件を模索し、撮影方法をあれこれ試すというのが現状です。
まとめ
カメラアングルというのは撮影技術の一つでしかありません。ローアングルやハイアングルで写せばいい写真ができるというわけではないのです。しかし、同じ被写体であってもこの技術を使えばいい写真になる可能性はあります。どんどん試してみて、カメラアイを養ってください。
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