昔は、写真を撮られるときは極力動かないというのが写される側の心構えでした。カメラを方を見てじっと静止する。カメラマンはその瞬間にシャッターを切るというのが当たり前でした。現在でも学校の卒業写真や修学旅行の写真では同じような写し方をします。きちんと並んで人陰に隠れることなく、全員の顔が写ってなければなりません。カメラマンはそのとき「動かないで」と大声で注意します。ですから、子どものころから「写真を撮られるときは動いてはいけない」という意識を植え付けられているのです。
しかし、それでは、写真がつまらないものになってしまいます。記念写真や静物写真、風景写真なら、なるほど静止していても満足できます。しかし、スナップやスポーツ、鉄道、動物写真の分野では動きが非常に大切です。それがどれだけ大切かを解説してみましょう。
動きを写してみましょう
いうまでもなく写真は静止画像です。瞬間を切り取り、それを固定するものです。しかし、被写体の選択と切り取り方、および撮影技法次第では見るものに動きを感じさせることは可能です。いや、想像の範囲で動きを与えるのですから、動画以上に動きを感じさせることもできるのです。
そのために心がけてほしいのは、まず動きを捕らえることです。被写体が止まっているのではなく、動いているところを写すということです。被写体が動いている以上、速いシャッタースピードは必要です。動きによって必要なシャッタースピードは変わりますが、最低でも125から250はほしいところです。晴天の太陽光の下では問題ありませんが、室内ではISO感度を上げるか、またはストロボが欠かせません。
腰を据えて動くのを待つ
記念写真ではみんなに揃ってもらい、「はい、チーズ」でシャッターを切れば1枚の写真が出来上がります。しかし、動きを撮るためには被写体が動くのを待たなければなりません。そこで動いてと声をかけることも不可能ではありませんが、まれな例といっていいでしょう。また、できるだけ自然な動きを捕らえようとすれば、被写体に自由に動いてもらった方が賢明です。
長年写真をやっていると、被写体を目前にして待つことがいかに大切かが分かってくるものですが、それを知る一つがこの動きを撮る場合です。相手がじっとしている限り、シャッターは切れません。動くまで待たなければなりません。それも、こちらが望むような動きをしてくれなければなりません。待ちきれずに妥協すればいい写真は撮れません。
高速シャッターで動きを止める
被写体の動きを印象的に表現するには、大きく分けて三つの方法があります。高速シャッターで動きを完全に止めてしまうというのが一つ。シャッタースピードを遅くして動きをブラせるのが二つ目。そして、三番目は流し撮りという手法です。まずは動きを完全に止めてしまう方法を紹介しましょう。
人間の目は動くものを流れとして捕らえます。分かりやすくいえば動画です。それを完全に止めてしまえば、日頃はお目にかかれないシーンが固定されます。これは新鮮です。これまで経験がなかったとしたら、あなたのレパートリーに新しいカテゴリーが誕生したことになるでしょう。
ただし、単に動きを止めたからといって、それがいい写真になるとは限りません。新鮮なだけではすぐ見飽きてしまいます。被写体の選択はもとより、構図やシャッターチャンス、明暗や色のバランスなどさまざまな要素を満たしていなければなりません。それを踏まえたうえでより速い動きをする被写体を選び、望んでいる構図が描けるポジションでチャンスを待ちます。状況によってはシャッターを切るチャンスはいくらもない場合もあるでしょう。その少ないチャンスをものにできたときの喜びは何物にも代え難いものです。
動きをブラセて表現する
速い動きを止めず、あえてブラせて表現する技術です。単純に高速シャッターで止めてしまうのではなく、ある程度動きを出すことでより印象的に表現します。止めてしまう写真よりはるかに難度は高まります。ブレていいのは動きのある部分だけです。他のパーツはきっちりとピントが合い、止まってなければなりません。しかも、ブレる範囲はシャッタースピードによって異なりますから、いろいろ試行錯誤をしなければなりません。現在はデジカメが主流ですから、その場で結果を確かめることができます。250か500か、逆に125か60か、どれを選択するかで写真のブレ具合は変わってきます。望むようなブレを確認できたらそのシャッタースピードで、今度はシャッターを切るタイミングを変えていきます。
何度もやっていると、この速度の動きはこの程度のシャッタースピードで切ればきれいにブラせることができると分かってきます。そこまで至るには何度も何度も実際にシャッターを切る必要があります。
流し撮りで動きを表現する
カメラの撮影技法の一つに、流し撮りというものがあります。「流す」とは構えたカメラを被写体の動きに合わせて動かすという意味です。分かりやすい例として鉄道写真があります。右から走ってきた電車に合わせて、カメラを右から左に移動させながらスローシャッターを切ります。すると、背景は流れますが電車は止まって写ります。
これが流し撮りですが、難度はさらに上がります。シャッタースピードをいろいろ変えるのは当然ですが、カメラを動かす速度も大きく関係しています。被写体をファインダー内に保持しつつ右から左に振ります。その速度もいろいろ変えてみなければなりません。
さらには、カメラが上下にブレないようにもしなければなりません。手持ちである以上、カメラを水平にだけ動かすのは相当な困難をともないます。可能ならば、最初は三脚に据えてやってみましょう。上下動を気にせず左右にだけ集中できればずいぶん楽になります。そして、どんどん挑戦してみてください。
まとめ
動いている被写体の動きを上手に表現すると写真に躍動感が生まれます。躍動感のある写真は人の目を引きつけます。動きがなく静止した写真よりはずっと見る人に感動を与えます。これまで静止した写真しか撮影していなかったとしたら、動きを与えることによって写真に命を吹き込められるかもしれません。動く被写体を捕らえる、速い動きを止める、動きをブラせる、流し撮りという四つを意識して被写体に取り組んでみてください。
この記事へのコメントは下のコメント欄にお願いします。
カメラをレンタルしたい方へ
Anyble(エニブル)では個人間でいろいろな”モノ”が安心してレンタルできます。商品は100%保証なので、汚れ、破損の心配は必要ありません。
貸したい人は、何回も貸し出すことによって継続的な収入が得られます。
借りたい人はレンタルショップよりも格安!で個人から借りることができます。
カメラをレンタルしたいという方はこちら↓