ニコンのAPS-Cイメージセンサー(ニコンではDXフォーマットと呼びます)を搭載した一眼レフカメラといえば、現在はD500を筆頭にD7500、D5600、D5300、D3400の4機種がラインアップされています。D500はプロ仕様、D4桁機は頭7・5・3の数字で機能別にクラス分けをしており、実質ハイアマチュア・ミドル・初級という感じになっているかと思います。D300sが2011年に生産中止となり2016年に後継のD500が発表される間、DXフォーマットフラッグシップとして位置付けされてきたD7000シリーズもD7500で4代目となりました。今回はNikon D7500のお話です。
ボディー
まずは本体を見てみましょう。基本的にD7000のシリーズはD7500までデザインが大幅に変わるという事がなかったので、ボディだけを正面からぱっと見たときに右肩付近のモデルナンバーのバッジを確認しない限り判別は難しいかもしれません。ただ、本体の厚みに関していえばD7500になって若干スリム化されており少し小さくなった印象です。
背面のデザインについては静止画・動画切り替えレバーの位置が微妙に変わったりしてますが、ボタン関係での大きな変更は無し。ただ、背面の親指が当たる部分から側面にかけてシボ革が貼ってあり、先代までの機種は背面のみだったのでD7500になって高級感が若干アップしています。
液晶は3.2インチ92.2万ドットで、D7200の122.9万ドットからスペックダウンしているように見えますが、実はD7500はタッチ式の液晶を採用しており、その関係でのスペックダウンだと思われます。ファインダーについては今まで同様の四角窓。D500の丸窓が羨ましいところではありますが、視野率100%、0.94倍と視野も広く見やすいファインダーとなっています。上部を見るとシャッターボタン付近にISO設定ボタンが付きました。高感度にも強いD7500は積極的にISOを切り替える場面もあるでしょうから、この位置にISO設定ボタンがあると右手で押せるので操作性が良いですね。
サブ液晶についてはD7200から若干小さくスリムになった印象です。カメラ本体を小さくまとめるためのデザイン変更だと思いますが、表示内容は変わりません。ボディ本体は「高剛性炭素繊維複合素材」が使用されており、最近のカメラでよく使われているマグネシウム合金は使われていないようです。逆に合金を使用していない分、カメラ本体の重量を軽くすることに成功しているのではないかと思います。
D500との比較
D7500というと、やはり気になるのはフラッグシップ機である兄貴分のD500との違い。現在の実売価格でいえばD500は約17万円でD7500は12万円と約5万円程の価格差があります。この価格差はどこにあるのか比較しながらD7500を見ていきたいと思います。
まずD7500のスペックですが、イメージセンサーはローパスレス仕様の2088万画素ニコンDXフォーマットで、画像処理エンジンはEXPEED5を搭載。常用ISO感度は51200まで、拡張で1640000まで使えます。D500はといいますと、実はこのイメージセンサーや画像処理エンジンのスペックは意外なことに全く一緒。というか、D7500のほうがD500と一緒と言ったほうが良いですね。
心臓部は一緒であることがわかったので、次に連写能力についてです。D7500は1秒間に8コマ連写で連続74コマ(12bitロスレス圧縮時)撮れますが、D500はというと1秒間に10コマ連写でXQDカードを使用した場合は連続200コマ撮影できます。連続撮影の部分はバッファと記憶メディアの書き込みスピードによるものですが、連写スピードはカメラ本体の性能差ですね。ここで差が出た秒間2コマをどう考えるかだと思いますが、D7500の1秒間に8コマの連写スピードは他のデジタルカメラと比較しても正直かなり速い部類で、私は実用上十分過ぎるスピードだと思います。
そしてAF性能はというと、D7500の測距点はフレーム中心寄りに51点で内15点がクロスセンサー。D500は測距点が153点とフレームいっぱいに広がっており、その内99点がクロスセンサーとなっていて、ここでは流石D500というところです。動体撮影においては連写スピードよりもいかに被写体を捉えられるかが重要で、高速連写で大量に撮影できたとしても、当たりが一つも無ければ意味はありません。逆にしっかり被写体を捉え続けるAF機能があれば、秒間2・3コマの連写スピードでも良いわけです。もちろん両方のバランスが良いに越したことはないわけですが、その意味から言ってもやはりD500はDXフォーマットのフラッグシップとして君臨する機種であることは間違いないでしょう。
しかしながら実際に動体撮影をする時のことを思い浮かべてみれば、プロの方や撮り慣れている方でもなければ動体撮影時に故意にフレーム中央を外して被写体を追いかける事は無いと思うんです。何が言いたいかと言いますと、中央で被写体を捉え続けていられる間はD500もD7500も事実上はそこまで差は無いのではないかと。フレームアウトする手前数コマの差ではないかと思うのです。そこをどう考えるかですね。
動画について、D7000系のシリーズとしてはこのD7500で4K動画に対応しました。動画撮影のスペックもD500と同様ですね。そもそも一眼レフカメラでの動画といえばキヤノンのEOS MOVIEが火付け役ではあったのですが、今やパナソニックやソニー、フジといったミラーレス勢に押され気味の感があります。特にボディ内手ぶれ補正機構を採用しているメーカーは動画も強いイメージがあり、実際商用のビデオ撮影でもOM-Dをジンバルに搭載して撮影されたりもしているようです。
そういった中でニコンの動画ですが、ことD7500についての動画機能はおまけ的な機能では無く、細かい設定が可能で十分使えるものとなっています。一眼レフの場合の動画撮影は仕組み上ファインダーを見ながらの撮影が出来ず背面液晶を見ながらの撮影となるのですが、逆にD7500のタッチ式液晶を使ってフォーカスしたい部分をタッチで瞬時に設定できるなど操作性も優れています。
まとめ
D500と比較しながらD7500を見てみると、元々ニコンが想定していたD7000番台機のコンセプトがわかる気がしました。DXフォーマットのフラッグシップ機となりうる実力を持ちつつ、あくまで弟分としての味付けのD7500。「下町のナポレオン」ならぬ「庶民のD500」といったカメラだと思います。
ライター情報
ひろの ゆげのん
Instagramページ:https://www.instagram.com/yugenonrx/
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