登山、スキー、カヌーなど、自然に立ち向かうアウトドアスポーツに挑戦する人にとって、ウェアの選択はパフォーマンスを大きく左右する要素の一つと言っても過言ではありません。ときには、激しい気温の変化や風雨に晒されるこれらのスポーツにおいては、ウェアはただの衣類ではなく、自然の脅威から身を守るための防護服ともいうべき存在です。このテーマに正面から向き合ったモノ作りをしているのが、今回ご紹介する「finetrack(ファイントラック)」というアウトドアブランドです。
キーワードは「レイヤリング」
レイヤリングという言葉をご存知でしょうか?日本語に直せば「重ね着」の意味ですが、ここでのレイヤリングとは、
1. 雨風を防ぐ
2. 体温を保持する
3. かいた汗で身体を冷やさない
これらの3つの機能を満たすウェアを「アウターレイヤー」、「ミドルレイヤー」、「ベースレイヤー」に分けて重ね着し(3レイヤリング)、天候や運動量に合わせて体温の調整を行うことをさします。
防水性、透湿性を兼ね備えたGORE-TEX®も、それ単体では保温性が不十分ですが、フリース等、他のウエアとの組み合わせによってその本来の性能を発揮することができるのです。
finetrackの新提案「5レイヤリング®システム」
出典:finetrack
レイヤリングの概念自体は新しいものではなく、昔からあったものです。特に登山において、3レイヤーのウェアリング(例;綿シャツ、フリース、カッパなど。吸汗着+保温着+防水着の組み合わせ)というのは従来の常識でした。
しかし、これだけでは風雨はしのげても、激しくかいた汗で体が冷えることまでは防げません。水の熱伝導効率は空気の約25倍も高いといわれており、肌着の濡れは体温を急激に奪っていきます。その結果、体温を保つために激しくエネルギーを消費することになり、体力が知らず知らずのうちに体力を消耗してしまうことに繋がるのです。
体を濡らすことなく、ドライな状態を保てるようにするにはどうすればよいか。その疑問に対してfinetrackが出した答えが5レイヤリング®システムでした。その名の通り5レイヤリングでは、以下の5種類のウェアの組み合わせを提案しています。
・雨や雪、風をシャットアウトし、透湿性とストレッチ性を両立した「アウターシェル」
・着心地が良く、高い防風性を併せ持った「ミッドシェル®」
・汗をスムーズに処理しながら適温を保つ「ミッドレイヤー」
・汗を肌から引き離す吸汗拡散性をもつ「ベースレイヤー」
・ファイントラック独自の強力なはっ水ウェア「ドライレイヤー®」
なぜ「3」ではなく「5」なのか?今までのレイヤリングと何が違うのか。
その疑問には、次でお答えしていきましょう!
肌から汗を引き離す!「リンクドライ」
出典:finetrack
5レイヤリングとなり、3レイヤリングから新たに加わったレイヤーが一つあることにお気づきでしょうか?それが「ドライレイヤー」です。
このドライレイヤーの特徴は、その高いはっ水性と肌に直接触れるウェアとして着用する点にあります。このレイヤーの効果により、かいた汗は素早くベースレイヤー、ミッドレイヤーへ吸収・拡散され、肌の表面には水分が残りにくくなります。そのため、激しく汗をかいたときでもドライ感を感じることができるのです。
また、finetrackが開発したミッドレイヤーも体温を適度に保ちつつ、汗を外へ逃がしてくれるので、夏場の温かい時期には、ミッド・ベース・ドライレイヤーの3点セットでかなり快適に過ごすことができます。
アウターが2枚!「ダブルシェル」
出典:finetrack
アウターなんて1枚で良いのではないか?と以前は思っていましたが、2枚にするメリットがあります。単純にダブル構造による雨や風の遮蔽率アップ効果もありますが、さらにウェア裏地への結露抑制効果が加わります。
登山やスキーなど、ウェアの中の温度と外気温の間に温度差がある場合、ウェアから出てきた水蒸気は一番外側のアウターの裏地に結露を発生させ、身体を濡らしてしまう恐れがあります。これを抑制するため、寒冷地の2重窓のように「アウターシェル」と「ミッドシェル」を組み合わせることによって、ウェア内環境の悪化を防いでいるのです。
使ってみて驚いた「ドライレイヤー®」
私が使ってみて驚いたのが「ドライレイヤー®」の効果でした。私は趣味のカヌーで完全防水のドライスーツを着用するのですが、その防水性能の高さゆえに汗蒸れが起こりやすく、インナーとして使っているウェアが肌に張り付きやすいという悩みがありました。そこで、いつも着ているインナーの下に「ドライレイヤー®」を組み合わせたところ、インナーの張り付きが防止でき、ドライ感も継続できて、とても快適なカヌーライフを送れるようになりました。
まとめ
最近では数あるアウトドアブランドの中から、各社から様々な機能やデザインの商品が多数販売され、どれを選べば良いか分からなくなってしまいがちです。そんなとき自分のよく知るメーカーがあれば、そのメーカーの商品の機能や特徴を基準に他メーカーの商品を比較することができます。
finetrackは、前述の5レイヤリングの考えを原点に、様々なレイヤーを組み合わせ、登山だけでなくクライミングやトレイルランニング、自転車など目的に応じた商品ラインナップを用意しています。もし、これといったウェアとの出会いがない方がおりましたら、ぜひこの機会にfinetrackのウェアを試してみてはいかがでしょうか。
ライター情報
Shunchiku
ブロガー兼ライター。「ChikuLog」(http://shunchiku.blog.fc2.com/)を運営しております。
大学でカヌーと出会い、現在ではカヌースラローム選手としても活動中。
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